Microsoft EdgeとInternet Explorerってどう違うの? Chromeの仲間ってどういう事?

2021年に登場したMicrosoftの最新OS『Windows 11』には、標準ウェブブラウザーとして「Microsoft Edge(以下、Edge)」が搭載されています。

Microsoftといえば、長らく「Internet Explorer(IE)」というウェブブラウザーをWindowsに搭載していましたが、現在では開発やサポートを終了し、この「Edge」に軸足を移しています。

では、Microsoft EdgeとMicrosoft Internet Explorerはなにが違うのでしょうか? さらに、同じEdgeでも実は別のものが存在するのをご存じでしょうか? ここでは、そんなMicrosoft Edgeの秘密について紹介しましょう。

ブラウザーの本体はレンダリングエンジン

ここで、IEとEdgeの違いを「ソフトの見た目」とか「アイコンや名前」という部分で語ってしまうとおかしな事になってしまうので、それは無視した上で「ブラウザーとしてなにが違うのか」という部分に着目すると「レンダリングエンジンが違う」というのが結論になります。

レンダリングエンジンとは、HTMLやCSSなどを解釈してウェブページの画面を作り上げるためのエンジン部分です。このレンダリングエンジンの解釈によって、ウェブページの作り方に違いが出てしまうため、同じHTMLの内容を記述しているにもかかわらず、少しだけ見た目が違うとか、うまく再現されないなどの現象が発生してしまいます。

実際、以前はレンダリングエンジンを各ブラウザーメーカーが独自に開発していたため、IEと他のブラウザーで見た目が異なるということが頻発していました。

そこで、Appleは同社のウェブブラウザー「Safari」を開発するときに、レンダリングエンジンを独自に開発するのではなく、すでにオープンソースとして開発が進められていた「WebKit(当時はKHTML)」というエンジンを搭載します。つまり、SafariというブラウザーはWebKitにブラウザーの機能をかぶせただけのものだったのです。

しかしこれが功を奏し、Safariは開発に苦労することなくウェブの最新技術に追従できるブラウザーとして存在感を強めることになります。

WebKit系が世界を制覇

その後WebKitは、Googleにも認められ、同社の「Chrome」にも搭載されるようになります。なお、Googleはその後WebKitを改良して「Blink」という別のレンダリングエンジンを開発し、現在はBlinkがベースになってはいるものの、「WebKit系」という意味では同じようなエンジンとなります。

その後もWebKit系を採用するブラウザーベンダーは次々に登場し、PlayStationなどのゲーム機を始め、新興メーカーが開発するブラウザーなどにも採用されるようになりました。この時点で、レンダリングエンジンとしては次のようなものが残っていました。

  • Trident – Internet Explorerのレンダリングエンジン。Microsoftが開発。
  • Gecko – Firefoxで採用されているレンダリングエンジン。その他いくつかのブラウザーが採用している
  • WebKitおよびBlink – SafariやChrome等で採用され、圧倒的に人気のレンダリングエンジン。

こうして、IEの肩身が狭くなっていったのです。

EdgeHTMLの開発に力を注ぐMicrosoft

こうして、WebKit系のブラウザーの人気が上がるにつれ、MicrosoftもようやくTridentに見切りをつけて、新しいレンダリングエンジンとして「EdgeHTML」というエンジンを開発します。そして、IE11に一時搭載された後、新しいブラウザーのとして「Microsoft Edge」を開発します。

ただ、結論からいえば、このレンダリングエンジンはうまく行かず、「現在のEdge」には搭載されていません。つまり、Microsoft Edgeには正確には2種類あるのです。(EdgeHTMLを搭載したEdgeを「旧Edge」などと呼びます)

EdgeHTMLを搭載したEdgeは、Windows 10などに搭載されましたが、シェアは上がらずGoogle Chromeに圧倒的な差をつけられてしまいます。そこで2020年、MicrosoftはBlinkをレンダリングエンジンに採用した新しいEdge(これを、Chromium Edgeなどと呼びます)を開発し、現在のWindows 11などに搭載します。

これにより、現在利用されているブラウザーは、Firefoxを除けばほとんどがWebKit系のブラウザーという事になります。これにより、ウェブ制作者はブラウザーごとの表示の差異をあまり気にせず、ウェブ制作ができるようになったというわけです。

今後も、WebKitやBlinkの進化に目が離せません。